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ゲームやアニメばかりでなく映画の話でも。
相変わらず暇を持て余していたところ(医療従事者や小売業やロジ関係の皆様、頭が下がります)、知人から連絡があって「GYAO!でいい映画が無料視聴できるから、ぜひ観ろ」とのこと。そう言われたら観ない手はない、ということで観ました。『アデライン、100年目の恋』。
『アデライン、100年目の恋』あらすじ
上のリンクにも一部書いてありますが。まずは軽く、私なりにあらすじをまとめて書いときましょう。――アデライン・ボウマンは1908年に生まれ、成長して結婚し、子どもにも恵まれた。しかし1937年の事故は、彼女に辛い人生を科すこととなる。
歳をとることがない。だから、怪しまれないために、いちど築いた人間関係から、どこかの時点で逃げ出しては名前を変え、他の土地でゼロから生活を構築し直す。そうして彼女は2014年まで生きてきた。実の娘が年を重ね、立場が逆の祖母と孫のようになりながら。
資料館で働く彼女を、数学科出身でひと財産を築いた青年エリスは見初め、アプローチを試みる。拒みながらも、次第に惹かれていくアデライン。とある再会がまたも彼女を苦しめる。エリスの想いは届くのか。完璧な美しさを保ち続ける彼女に、幸せは訪れるか――。
って感じですかね。
主役よりも恋人の父親役に見覚えがあった
監督はリー・トランド・クリーガー。主演はブレイク・ライブリーという方のようで。どちらも映画に疎い私は知りませんでした(失礼^^;)。アデラインにモーションをかける青年エリスのお父さんが中盤以降で出てくるんですが、むしろこっちの役者さんの方が知ってました。ハリソン・フォードです。
私には『インディ・ジョーンズ』シリーズでの活躍がやはり印象深いんですが、いつの間にかお爺さん(と言っていいでしょう)役を巧みに演じるようになったんですね。本作のテーマもテーマですし、彼の演技には思うところ大でした。
アデラインの健気さと、愛犬とのシーンに涙が
まずはアデラインの健気さに心打たれました。もっとも目頭が熱くなったのは、愛犬とのシーン。私のところにもきつね色をした小動物がいるので、他人事じゃないというのもありますが、それ以上に彼女に押し寄せる孤独が辛かった。一方で、ラストの展開がちょっとご都合主義な感じは受けました。加えて、エリスは結局、アデラインの全てを知り、受け入れたのだとは思うのですが、それは最後のあの出来事の直前でないと、何というか盛り上がりに欠けるんじゃないかな、と。
“歳をとらない女”のヲタク的考察
ところで本作のような“歳をとらない女”という設定は、漫画なんかでも良くみられますよね。私が思い出したのは、影法師(『烈火の炎』)とか、アンジェリーナ(『からくりサーカス』)といった女性たちです。まぁ後者は、厳密には4年に1歳ずつ歳をとってるんですが。考えたら、上記の2作の作者たちは弟子と師匠の関係ですね。さらにその師匠が大ファンだというキャラクターはメーテル(『銀河鉄道999』)らしいですし、何やら“歳をとらない女”の系譜が感じられます。
あるいは、お年寄りのカップルを見て「一緒に老いることができていいな」(台詞の細部はうろ覚えなんですが^^;)という、『ぼくのマリー』という漫画に出てくるアンドロイド・雁狩マリも思い出されます。吸血鬼アーカード(『HELLSING』)が「貴方は今こそが確実に美しいのだ、女王」と言ったのも、同様かと。
影法師もアンジェリーナもそうですが、アデラインが憧れてやまなかったのは、それですよね。不老というのは良さそうに思えますが、愛した人々と一緒に老いていくことができない、ということで。それは、結構な地獄だと思います。
大魔王を前にポップ(『ダイの大冒険』)が「閃光のように!」と言ったように、人間というのはやっぱり、生きて老いていく中で、どれだけ輝けるかということなんでしょう。そういえば閃光を思わせるような彗星が、この映画ではキーになっていたりもします。
さらに提督的考察
せっかくなので『艦これ』にも引き付けて考えてみたいのですが。艦これの二次創作界隈でも、時として“艦娘は不老である”という解釈がなされることがあります。もう7年近く続いているゲームですし、そうでないと当初17歳だった艦娘は24歳とかになってしまうので、頷けなくはない解釈です。提督の方は生身の人間ですから、比喩的に言うと往く船に乗った提督を、艦娘は桟橋に立って見送るみたいなことになって、そこにドラマが生まれるというわけなんですが。
こうした解釈、私も好きではあるんですけど、ちょっと物悲しいですよね。艦娘という存在自体が、もう物悲しくはあるんですが(この辺り、ぜひしっかり考えて文章化したいです)。
艦娘=生身の少女+艦の魂か、艦娘=艦の擬人化かの解釈でも、また違ってくるところでしょう。が、前者の解釈を採ることの多い私としては、仮に艦娘としては不老であっても、せめて戦いが終わったら、生身の少女に戻り、時間が流れ出して欲しいと思います。
医学とかアメリカの州自治とか
その他のディテールの話もしましょうか。まず、深部体温とか下顎呼吸(=終末呼吸?)とか、医学的な言葉回しが随所に出てきます。アデラインの素性が分かるのも医学がらみですし、台本を書いた人はその辺りに詳しい人なのかな、と思いました。それと、アデラインのような生き方って、州ごとに法律が違う(だからたぶん戸籍の把握についても違う?)、合衆国だからこそ成立したことだよな、とも感じました。日本ならまず無理ですよね。
同時に、車社会でなければそもそも発端のアレも起きなかったかも、とか。これについては、言ってしまっては身も蓋もないのですが。
完璧とは、変わりゆくこと
不老になる経緯がかなり荒唐無稽ではあるけれど、「SFは最もロマンティックな物語ジャンルである」という私の持論を大いに補強してくれる映画でした。なぜだか無性にウィスキーが飲みたくなる作品でもあります(劇中で印象的なのはワインですが)。例によってGYAO!での無料視聴には期限があり、2020年4月16日の23時59分までとなっています。興味が湧いたけど見逃してしまった、という方は、アマプラなどでどうぞ。そのうちまたGYAO!でも配信されるかもしれませんが。
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